それは散歩の途中の事です。
普段歩かない私は、疲れのために意識がどうかしていたのでしょう。
「これではいかん!」
急に気分がネガティブになってきました。
人間、お腹がすくと、弱気になるものです。
周りを見回しても、店はありません。
「コンビニないかな~」
もちろんありません。
ちっとも、コンビニエンス(便利)ではありません。
そうやって、さまよっているうちに、自販機を見つけました。
「お~、神のたすけ~」
重い足引きずるようにしながら、自販機に駆け寄りました。
さらに嬉しいことに、一番安い飲み物は80円です。
これは買いです。
「どれにしようかな~」
私としては、量の多いものにしたかったのですが、それでは冷たいものしかありません。
体もかなり冷えています。
何か温かいもがほしいです。
すると、ある商品が目に留まりました。
ふつう、自販機で暖かいものといえば、コーヒーなどの小さな缶しかありません。
しかし、目をくぎ付けにしている商品は、ホットにしては大きい。
「これだ~」
缶の色からして、体が温まりそうです。
ここで、その商品の説明をしてもいいのですが・・・
百聞は一見にしかずって言います。
これです。
私にはとても魅力的に見えました。
あ~それと、もうちょっと縦長の缶だったように思います。
すかさず缶を開けて一口飲みました。
「まず~、なにこれ、ショウガ?」
やたらショウガの味がします。
そして、温めたことによって、その味がさらに増しています。
改めて、缶を見ました。
「ひやしあめ!」
ってことは、冷やして飲むもの?
買う時に気づけばよかったです。
しかし、思考力と注意力が弱っていたのでしょう。
まったく文字が目に入っていませんでした。
黄色い缶の色だけで、とても暖かくおいしいものを想像していました。
どうしようかと思いました。
「捨てようか・・」
貧乏な私は食べ物を粗末にすることはできません。
「でも、飲み物だからいいかな?」
なんてことが頭をよぎりましたが、そこは無理して全部飲みました。
「から~」
なんだか、さらに喉が渇いてきました。
今は散歩の途中。
家までは、まだかなりあります。
足が痛くて困っていましたが、さらに喉の渇きが・・・
いや~、とても思い出深い散歩になりました。
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